【ジュニアNISA】2023年の廃止によってどう変わる?変更点&廃止後の運用方法
ジュニアNISAは2023年末で廃止されることが決定しています。
廃止になることで、最大のデメリットと言われていた「18歳までの払出しの制限」がなくなることが話題になっていますが、他にも注意すべきポイントがあります。
我が家は3歳の長男(2018年よりジュニアNISA口座で運用開始)と0歳の次男(2021年よりジュニアNISA口座で運用開始)の教育資金をジュニアNISAで運用しているので、制度が廃止されることによってどのような影響があるのかは重要な問題です。
ジュニアNISA制度の廃止によって何がどう変わるのか、ジュニアNISAを今後も運用する場合、何をすべきなのか、まとめてみました。
- ジュニアNISAをやっている人
- ジュニアNISAを始めるか迷っている人
- 現在20歳未満の子供がいる人
ジュニアNISAの概要と廃止後に変わること
ジュニアNISAは2016年にスタートした未成年のためのNISA(非課税投資制度)です。
現在日本にあるNISAは①NISA、②ジュニアNISA、③つみたてNISAの3つですが、未成年が開設できるNISAはジュニアNISAだけ。
しかし、あまり人気が出なかったようで、制度が延長されることなく2023年度末で廃止されることが決まりました。
ジュニアNISA制度概要(2023年末まで) | 制度廃止後(2024年1月1日以降) | |
利用できる人 | 日本に住む未成年(20歳未満※2023年のみ18歳未満) | 日本に住む未成年(18歳未満) |
非課税対象 | 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 | 変更なし |
口座開設可能数 | 1人1口座 | 変更なし |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年80万円が上限 | 新規投資はできなくなる |
非課税期間 | 最長5年間 | 変更なし |
投資可能期間 | 2016年~2023年 | 新規投資はできなくなる |
運用管理者 | 口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等) | 変更なし |
払出し | 18歳まで払出し制限あり | 口座を廃止することで払出し可能に |
- 非課税枠に未使用分があっても翌年以降への繰り越しはできない
- 非課税期間終了後、新たな非課税投資枠への移管(ロールオーバー)による継続保有が可能
- 購入できる金融商品は口座を開設した金融機関によって異なる
- 口座を廃止しなければ金融機関の変更はできない(口座を廃止すると課税されるので、金融機関の変更は現実的ではない)
変更ポイント①利用できる未成年の定義が変わる
ジュニアNISAを利用できるのは、日本に住む、口座を開設する年の1月1日時点で20歳未満の未成年者です。
例えば、2021年の1月1日に19歳なら、2021年内であれば口座を作ることができます。
しかし、2023年以降は、20歳未満ではなく18歳未満になります。
これは、2022年4月に施行された民法改正で、成年年齢が20歳以上から18歳以上に変更になっためです。
ジュニアNISAは20歳未満を「未成年」とする制度でしたが、民法改正によりそもそもの未成年の定義が変更になるため、ジュニアNISAの未成年の定義も連動して変更となり、利用できる年齢が引き下げられます。
変更ポイント②払出し制限がなくなる
ジュニアNISAは、3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日までの間は、原則として払出しができません。
つまり、高校3年生の時の12月末までってこと
正確に言うと、払出しできないわけではないのですが、払出し制限期間中に払出しすると非課税対象である利益に課税されてしまうので、NISAの非課税メリットがなくなってしまいます。(払い出す際にジュニアNISA口座は廃止することになります。)
※災害等やむを得ない場合は、例外として非課税での払出しが可能です。その際も口座は廃止することになります。
この払出し制限が、2023年の制度廃止以降は撤廃されます。
つまり、2024年1月1日以降なら、子供が未成年であっても、非課税でジュニアNISAで運用した資産を引き出すことができます。
ただし、引き出すにはジュニアNISA口座を廃止する必要があります。
そのため、他は非課税で保有しながら、一部の含み益の株だけを売却して引き出したり、配当だけを引き出すといったことはできません。
ジュニアNISA廃止後の選択肢は3つ
ジュニアNISA制度の廃止後(2024年以降)、それまでジュニアNISAで運用していた資産をどうするかの選択肢は3つあります。
- ジュニアNISA口座を廃止して引き出す
- ロールオーバーして非課税期間を延長する
- ロールオーバーせずにそのまま保有する
①ジュニアNISA口座を廃止して引き出す
2024年以降なら、未成年であっても非課税で引き出せるようになるので、ジュニアNISA口座で運用していたお金を別のことに利用したいのであれば、口座を廃止して引き出すのもありです。
ただし、先ほど説明した通り、一部の含み益の株だけを売却して引き出したり、配当だけを引き出すといったことはできないので、廃止する際はよく考えましょう。
②ロールオーバーして非課税期間を延長する
①のジュニアNISA口座を廃止して引き出す、という選択肢を取らないのであれば、非課税期間中(投資した年を含めて5年間)はそのまま保有することになるでしょう。
その場合、次に考えるべきポイントは、非課税期間が終了した後にどうするかです。
非課税期間終了後は、「②ロールオーバーして非課税期間を延長する」か「③何もせずに課税ジュニアNISA口座に払い出す」かの二つの選択肢があります。
ジュニアNISAは、制度終了後も成年(20歳、2023年からは18歳※)になるまでロールオーバーの手続きをすることで非課税で保有できます。
ジュニアNISA口座で保有している金融商品をそのまま非課税で保有したいなら、非課税期間が終了する年に、口座を開設している金融機関でロールオーバーの手続きする必要があります。
例えば、2017年中に購入した株式等は、2021年末で非課税期間が終了するので、2021年中に忘れずにロールオーバーを申し込まなければいけません。
ロールオーバーとは、非課税期間が終了する際に、NISA口座で保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移行(移管)することです。
なお、ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が80万円を超過している場合も、そのすべてを翌年の非課税投資枠に移すことができます。
ロールオーバーに必要な手順は、ジュニアNISA口座を開設している金融機関によって異なるので、ロールオーバーのためにどのような手続きが必要か、金融機関のHP等で調べてみてください。
成年(20歳、2023年からは18歳)になった後は、NISA(2024年以降は新NISA※)の口座が自動的に開設されて、NISA口座にジュニアNISA口座で保有している商品をロールオーバーすることができます。(つみたてNISAにはロールオーバーできません)
成人用のNISA口座に移管になれば、保有している金融資産の中から一部の株式だけを売却したり、配当金だけを引き出したりすることができるので、利用の自由度はグッと上がります。
③ロールオーバーせずにそのまま保有する
ジュニアNISAで保有している金融商品は、ロールオーバーの手続きをしない場合、5年間の非課税期間が終了すると自動的に課税ジュニアNISA口座(払出し制限付き課税口座)に払い出されます。
NISA口座から課税口座へ株式等を移管すると、移管時の時価が取得価額となります。
例えば、2017年に10万円で購入した株が、2021年末時点で12万円になっていた場合、移管先の課税口座では12万円で取得したことになります。そして売却時に14万円だった場合は、差額の2万円の部分だけ課税されます(約4000円の税金が取られる計算)。
ジュニアNISA口座を廃止し、払い出して利用する予定がないのなら、課税ジュニアNISA口座(払出し制限付き課税口座)で保有を続けるメリットはほぼないと思われます。
私が思いつくメリットとしては、課税ジュニアNISAに移管後、その銘柄が値下がりして売却時に売却損が出た場合、子供名義の証券口座内で損益換算できることがメリットでしょうか。
移管後に値下がりするか値上がりするかを移管時に予想するのは難しいので、迷ったらロールオーバーするのが良いと思います。
保有を続けるのなら、②のロールオーバーの手続きをして、非課税で保有するのが得策です。
ロールオーバーの手続きを忘れると、非課税期間終了後は自動的に課税ジュニアNISA口座に移行されてしまうので、非課税期間が終了する前にロールオーバーの手続きをするのを忘れないようにしましょう。
我が家の場合のジュニアNISA運用具体例(出口戦略)
ジュニアNISAの今後の変更点等を踏まえて、我が家の兄弟の場合を参考例として、今後の運用について考えてみました。
【兄】3歳・2018年よりジュニアNISA利用開始・楽天証券
現在3歳(2017年生まれ)の兄は、楽天証券で2018年からジュニアNISAを利用しています。
今後の運用プランはこんな感じ。
[timeline title=”【兄】3歳・2018年よりジュニアNISA運用開始・楽天証券”]
[ti label=”2018年(0歳)〜2022年(4歳)” title=”新規投資期間”]
毎年80万円投資。新規投資期間は5年間なので、合計400万投資予定。2022年中に2018年投資分のロールオーバーの手続きするのを忘れない!
[/ti]
[ti label=”2023年(5歳)〜2035年(17歳)” title=”ロールオーバー期間”]
毎年ロールオーバーして非課税期間を延長させる
[/ti]
[ti label=”2036年(18歳)〜” title=”新NISA口座に移管”]
必要な金額を踏まえて、新NISA口座で保有している金融資産の中からどれを売却するか等を考える
[/ti]
[/timeline]
兄は2018年からジュニアNISAの利用を始めたので、2018年に投資した分の非課税期間が2022年いっぱいで終了します。
来年は忘れずに初めてのロールオーバーをしなければなりません。
【弟】0歳・2021年よりジュニアNISA利用開始・SBI証券
現在0歳(2021年生まれ)の弟は、SBI証券で2021年からジュニアNISAを利用しています。
今後の運用プランはこんな感じ。
[timeline title=”【弟】0歳・2021年よりジュニアNISA運用開始・SBI証券”]
[ti label=”2021年(0歳)〜2023年(2歳)” title=”新規投資期間”]
毎年80万円投資。新規投資期間は3年間なので、合計240万投資予定。
[/ti]
[ti label=”2024年(3歳)〜2025年(4歳)” title=”空白期間”]
新規投資できないのでやることはないけど、2025年中に2021年投資分のロールオーバーの手続きするのを忘れない!
[/ti]
[ti label=”2026年(5歳)〜2038年(17歳)” title=”ロールオーバー期間”]
毎年ロールオーバーして非課税期間を延長させる
[/ti]
[ti label=”2039年(18歳)〜” title=”新NISA口座に移管”]
必要な金額を踏まえて、新NISA口座で保有している金融資産の中からどれを売却するか等を考える
[/ti]
[/timeline]
ジュニアNISAは2023年いっぱいで投資可能期間が終了するので、兄と違って弟は3年間しかジュニアNISAで新規投資できません。
兄弟で用意する教育資金に差が出るのは不公平な気がするので、ジュニアNISAで用意できなかった分は、別の方法で用意しようと思っています。
ジュニアNISA利用者が注意すべきこと
ジュニアNISAを現在利用している人、これから利用しようとしている人が、今後の運用について注意すべきことは、
- 保有を続けるならロールオーバーの手続きだけは忘れない
- 2024年以降は未成年でも口座を廃止することで払い出し可能だけど、含み損が発生していたらよく考えるように
ということでしょうか。
我が家は子供の大学時の教育資金として利用するつもりで運用していますが、それより先に必要になるかもしれませんし、利用を先延ばしにするかもしれません。
知識を持って、臨機応変に対応できればと思っています。
今3歳と0歳の子供たちが18歳になる頃、どんな世の中になっているんでしょうか。想像はつかないけど、楽しみな未来です。
子供たちが自分なりに夢や目標を持ってくれてるといいなぁ。それをお金の面でバックアップできればいいです。
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